パスオブエグザイル(Path of Exile)の話02

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パスオブエグザイル(Path of Exile、以下PoE)を運営するニュージーランドの会社グラインディングギアゲームス(Grinding Gear Games、以下GGG)は、2014年の正式ランチから現在に至るまで、一つのゲームで収益を上げ続けています。総プレイヤー数は、ゆるやかに安定して上昇しており、2019年には、エグザイルコン(Exilecon)というゲームコンペを開催しました。ニュージーランドの首都オークランドに、世界中からファンが集まりました。

エグザイルコンでは、Path of Exile2の世界初公開をはじめ、多くのビッグニュースが発表されました。本当にPoEを好きなファンたちと、情熱と誇りをもってPoEを開発運営しているGGG社員たちとの交流は、ネット中継放送を見ていたナデミタコも、こみ上げてくる感情がありました。

GGGは、どうやって基本プレイ無料のゲーム1本のみで、収益を上げ続けているのでしょうか。

収入源

GGGは、PoEのゲーム内マイクロトランザクション(MTX)で収入を得ています。日本でいう課金です。しかし、課金でキャラが強くなったり、経験値をブースト出来たりといったキャラクターが直接強くなる要素はありません。アイテムは、実際にゲームをプレイしてゲットするしかありません。

PoEの収入源7つのこと

①PoEには、スタンダードリーグとチャレンジリーグがある。スタンダードは、半永久的に続くリーグ。チャレンジリーグは、3カ月限定のリーグで、終われば、作成したキャラクターと得たアイテムは、スタンダードリーグに統合される。

②チャレンジリーグは、基本的に年4回あり、すべてのプレイヤーは、資産0の新規プレイヤーに立ち戻り、0からゲームをスタートする。

③チャレンジリーグは、新たなゲームコンテンツが追加される。既存のスキルやアイテムのリワークも行われる。ゲームシステムの調整も行われる。

④プレイヤーは、スタンダードに持っているキャラクターやアイテムを一切チャレンジリーグに持ち込むことはできない。しかし、プレイヤー自身に蓄積されている今までの知識と経験は活用することが出来る。各プレイヤーは、チャレンジリーグ毎に、好きな目標を決めて、楽しむことが出来る。

⑤チャレンジリーグ毎に、サポーターパックが発売される。価格は30ドルと60ドルの2種類。サポーターパックは、ゲーム内ポイントに加えて、見た目が変わるアバター等が、おまけでついてくる。

⑥ゲーム内ポイントは、キャラやスキルの見た目が変わるアバターに使うことが出来る。アイテムを保管しておくタブを増やすこともできる。各プレイヤーが作成することができるハイドアウト(Hideout、隠れ家)に置けるオブジェにも使える。

⑦通常のサポーターパックに加えて、さらに収益性の高いMTXもある。見た目を変えるアバターのガチャと、さらに熱狂的なファンに向けた、100ドル、160ドル、240ドル、480ドルの特別なサポーターパックである。

3カ月毎の大きな収益の機会

2019年にアメリカで開催されたゲーム開発者カンファレンス(Game Developers Conference)にて、創業者のクリスウィルソン氏は、PoEの3カ月ごとの発売サイクルは、ビジネスモデルの根幹をなしていると語っています。PoE黎明期には、サポーターパックやMTXを買ってくれるお得意様プレイヤーが、別ゲームやゲーム以外の遊びも楽しむ時間を持ちながら、しかし3カ月毎にPoEをチェックしに帰ってきてくれることを思い描いたそうです。プレイヤーの年単位のゲーム習慣の中に、4回PoEを組み込むことをまず意識したそうです。

多くのPoEプレイヤーはチャレンジリーグで遊びます。なぜなら、新規のゲーム経済と、新要素によってどんなビルドをプレイヤーコミュニティが創り出すのかが楽しいからです。

また、チャレンジリーグは、スタンダードリーグや、次のチャレンジリーグのためのベータテストの側面もあります。リーグ開始からしばらくは、大小様々なバグがプレイヤーコミュニティによって発見されて、GGGは、それらを修正していきます。

ゲームにバグがあることを、ほとんどのプレイヤーは寛容に見ています。なぜなら、3カ月の開発サイクルでは、十分なデバッグを行うことは不可能だと分かっているからです。

お金で応援

GGGが大切にしている客層は、課金で強くなると白けてしまうハードコアゲーマーです。彼らは、自分の知識と経験と運のみで勝負したいと思っており、少しでもゲームがうまくなりたいと思っています。彼らは、自作パソコンやゲーミングノートを持っています。彼らは、GGGとPoEが大好きです。なぜなら、GGG社員がPoEコミュニティを愛しており、PoEはハードコアゲーマーの桃源郷を体現しているからです。大好きなものは応援したくなります。お金で応援できるので、お金を払うんです。